2021年9月 FP3級試験対策として、過去5回分の試験問題から頻出論点を解説します。
今回は「相続・事業承継」です。
各種贈与の特例
出題頻度☆☆☆☆
頻繁に出題されます。
贈与税の特例として、次の3つを覚えましょう。
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
<対象者>
- 贈与者・・・直系尊属(父母や祖父母など)
- 受贈者・・・20歳以上 贈与年の合計所得金額2,000万円以下(※床面積40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)
<非課税限度額>
- 消費税の税率が10%の場合・・・省エネ等の住宅1,500万円 その他住宅1,000万円
- それ以外の場合・・・省エネ等の住宅1,000万円 その他住宅500万円
<非課税住宅>
- 床面積40㎡以上240㎡以下
- 床面積の1/2以上が居住用
<ポイント>
- 相続時精算課税制度と併用が可能
教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置
<対象者>
- 贈与者・・・直系尊属(父母や祖父母)
- 受贈者・・・30歳未満 贈与年の前年の合計所得金額1,000万円以下
<非課税限度額>
- 1,500万円(学校等以外の支払いには500万円)
<教育資金>
- 学校等に直接支払われる入学金、授業料など
- 学校等以外に支払われるもので、必要と認められるもの(学習塾、習い事など)
- 交通費など学生の多くが支払うもの
結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
<対象者>
- 贈与者・・・直系尊属(父母や祖父母)
- 受贈者・・・20歳以上50歳未満 贈与年の前年の合計所得金額1,000万円以下
<非課税限度額>
- 1,000万円(結婚に関する費用は300万円)
<結婚・子育て資金>
- 結婚に関する費用
- 新居、転居費用
- 妊娠、出産費用
- 不妊治療費用
- 子の医療費、保育費
法定相続分
出題頻度☆☆☆☆
頻繁に出題されます。
法定相続分は次のパターンを覚えてください。
- 配偶者と子供が相続人である場合
配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2 - 配偶者と直系尊属が相続人である場合
配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3 - 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
配偶者3/4 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4
贈与税の配偶者控除
出題頻度☆☆☆
よく出題されます。
贈与税の配偶者控除のポイントは以下の通りです。
<適用要件>
- 婚姻期間20年以上
- 配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭であること
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
<配偶者控除の限度額>
- 基礎控除(110万円)とは別に、2,000万円
<ポイント>
- 配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については、一生に一度しか適用を受けることができません。
葬式費用の具体的範囲
出題頻度☆☆☆
よく出題されます。
相続税の費用として債務控除される葬式費用の具体的範囲は、次の通りです。
<債務控除される葬式費用>
- お通夜、告別式にかかる費用
- お布施、戒名
- 埋葬、納骨費用
- 遺体、遺骨の運搬費用
<債務控除されない葬式費用>
- 香典返戻費用
- 墓地、位牌、仏壇仏具の購入費用(葬式とは直接関係ないため)
- 初七日、四十九日、一周忌法要
※少し区別がつきにくいかもしれませんが、試験対策としては控除されない葬式費用を覚えましょう。
遺産に係る基礎控除額の計算
出題頻度☆☆☆
よく出題されます。
計算問題も出題されますので、過去問で慣れておきましょう。
遺産に係る基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
法定相続人の数には、次の場合が考えられます。
- 相続放棄があった場合
相続放棄がなかったものとして、放棄した人数も含めます。
- 養子がいる場合
実子がいる場合・・・養子は1人まで含めます。
実子がいない場合・・・養子は2人まで含めます。
小規模宅地等の評価減の特例
出題頻度☆☆☆
よく出題されます。
小規模宅地等の評価減の特例をまとめます。
上限面積 | 減額割合 | |
特定居住用宅地等 (自宅の土地) | 330㎡ | 80% |
特定事業用宅地等 (事業用の土地) | 400㎡ | 80% |
貸付事業用宅地等 (賃貸住宅の土地) | 200㎡ | 50% |
特定居住用宅地等と特定事業用宅地等は、併用できます。(上限面積は330㎡+400㎡です)
頻出論点の解説は以上です。
2021年9月 FP3級試験の概要は以下を確認してください。
相続・事業承継の知識は今必要なくても、将来必ず必要になる時が来ます。
しっかり勉強して合格を目指しましょう。
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