2021年9月 FP3級試験対策として過去5回分の試験問題から頻出論点を解説します。
今回は「不動産」です。
借地借家法
出題頻度☆☆☆☆
頻繁に出題されます。
借地借家法とは、土地や建物の賃貸借とそれに関する権利や契約の更新、期間、効力などを定めた法律です。
今回は試験に出るポイントとして、「普通借地権と定期借地権」「普通借家権と定期借家権」をまとめます。
普通借地権と定期借地権
普通借地権 | 一般定期借地権 | 事業用定期借地権 | |
契約期間 | 30年以上 | 50年以上 | 10年以上 50年未満 |
更新 | 最初の更新は 20年以上 2回目以降は 10年以上 | なし | なし |
利用目的 | 制限なし | 制限なし | 事業用建物のみ 居住用建物は不可 |
契約方法 | 制限なし | 書面による | 公正証書のみ |
事業用定期借地権は制約が多いです。
普通借家権と定期借家権
普通借家権 | 定期借家権 | |
契約期間の上限 | 制限なし | 制限なし |
1年未満の契約期間 | 期間の定めのない賃貸契約 とみなされる | 1年未満の契約も可 |
更新 | 貸主の正当事由が無い限り 更新される | 更新なし |
契約方法 | 制限なし | 書面による |
大きな違いは更新のある、なしです。
また正当事由が必要なのは「貸主」です。借主に正当事由は必要ありません。
都市計画法
出題頻度☆☆☆☆
頻繁に出題されます。
都市計画法は、計画的な都市の整備に関する法律です。
今回は試験のポイントとして、「都市計画区域」「開発許可制度」をまとめます。
都市計画区域
都市計画区域は大きく3つに分けられます。
①市街化区域
おおむね10年以内に市街化を図る区域で、用途地域を定めることになっています。
②市街化調整区域
自然が多く市街化を抑制する区域で、基本的に用途地域は定められていません。
③非線引区域
「市街化区域」「市街化調整区域」以外の区域で、方向性が定まっていない区域です。
開発許可制度
一定の開発行為を行うには、原則として都道府県知事の許可が必要です。
①市街化区域
1,000㎡以上の開発行為は許可が必要です。
②市街化調整区域
全ての開発行為に許可が必要です。
③非線引区域
3,000㎡以上の開発行為は許可が必要です。
不動産の価格
出題頻度☆☆☆
よく出題されます。
不動産の価格は売主と買主との間で決められる実勢価格と、公的機関から発表される公的価格があります。
公的価格は以下の4つです。
公示価格 | 基準地標準価格 | 固定資産税評価額 | 相続税評価額 (路線価) | |
発表機関 | 国土交通省 | 都道府県 | 市町村 | 国税庁 |
基準日 | 毎年 1月1日 | 毎年 7月1日 | 3年に1度 1月1日 | 毎年 1月1日 |
公表日 | 3月下旬 | 9月下旬 | 3月~4月 | 7月1日 |
公示価格に対して 評価割合 | 100% | 100% | 70% | 80% |
※基準地標準価格は、公示価格の補完目的があるので半年遅れです。
道路に関する制限
出題頻度☆☆☆
よく出題されます。
建築基準法でいう「道路」とは、幅員4m以上のものをいいます。ただし、幅員4m未満でも道路とみなされる場合もあります(いわゆる2項道路です)。
今回は試験のポイントとして、「接道義務」「セットバック」をまとめます。
接道義務
住宅などの建築物の敷地は、「幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」と定められています。
これを「接道義務」といいます。
理由は道路に2m以上接していなければ、緊急時に消防車や救急車が敷地内に入っていけないからです。
セットバック
住宅などの建築物の敷地は、4m未満の2項道路に接する場合、道路の中心線から2m下がった線が道路との境界線となります。
これを「セットバック」といいます。
セットバックの敷地部分は道路とみなされるため、建物を建てることはできません。
将来的に道路を4m以上にするための措置です。
不動産の譲渡所得
出題頻度☆☆☆
よく出題されます。
不動産の譲渡所得は、
不動産の売却価格-(取得費+譲渡費用)=不動産の譲渡所得
で計算されます。
※取得費は売却した不動産の購入価格とその費用です。
取得費が不明な場合は、売却価格の5%を取得費として計上できます。これを「概算取得費」といいます。
※譲渡費用は不動産の売却にかかる費用です。
仲介手数料、印紙代、建物の取壊し費用などです。
試験では概算取得費が出題されやすいです。
不動産の譲渡特例
出題頻度☆☆☆
よく出題されます。
居住用不動産を譲渡した場合、一定の要件を満たせば様々な特例を受けることができます。
今回は「居住用財産の3,000万円特別控除」「居住用財産の軽減税率特例」「特定居住用財産の買換え特例」をまとめます。
居住用財産の3,000万円特別控除
居住用財産を売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円控除することができます。
ポイントは、
- 居住用財産であること。
- 所有期間は問わない(短期でも、長期でも可)。
- 譲渡先が一定の関係者でないこと。
- 前年や前々年にこの控除を使用してないこと。
- 「居住用財産の軽減税率特例」との併用可
です。
適用範囲が広いです。マイホームを買ったら転勤・・・なんて時にも活用できる制度です。
居住用財産の軽減税率特例
居住用財産の譲渡所得にかかる税率が低くなります。
軽減税率は譲渡所得6,000万円以下の部分は14.21%、6,000万円超の部分は20.315%です。
ポイントは、
- 居住用財産であること。
- 所有期間は10年超(譲渡した年の1月1日時点で)。
- 譲渡先が一定の関係者でないこと。
- 前年や前々年にこの控除を使用していないこと。
- 「居住用財産の3,000万円特別控除」との併用可。
3,000万円特別控除と併用できますので、条件が揃えば譲渡所得から3,000万円特別控除し、その後軽減税率を適用できます。
特定居住用財産の買換え特例
2021年12月31日までに居住用財産を売却し、新しく買換えたときは、売却時に発生した譲渡益に対する税金を将来に繰り延べることができます。
免除ではありません。
ポイントは、
- 居住用財産であること。
- 所有期間が10年超で、居住期間が10年以上であること。
- 売却価格が1億円以下。
- 買換えた居住用財産の床面積が50㎡以上であること。
- 譲渡先が一定の関係者でないこと。
- 前年、前々年にこの控除を使用していないこと。
- 他の控除との併用は不可。
ちょっとテキストを読んだだけでは、なぜこの特例が活用できるのか分からないと思います。(私もわかりませんでした)
でも深入りは試験後にしましょう。まずはポイントを押さえてください。
頻出論点の解説は以上です。
FP3級試験の概要は以下を確認してください。
不動産は人生の三大イベントのひとつ、「住宅取得」に関する分野です。
将来必ず役に立つ知識ですので、しっかり勉強して合格を目指しましょう。
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