保険は病気やケガなど、万が一の時にご自身や家族が金銭面で困らないように加入している方が多いと思います。
しかし、病気で寝たきりになったり事故で意思疎通ができなくなったら、誰が保険金や給付金を請求すればよいのでしょう。
そんな時に困らない制度が「指定代理請求制度」です。今回は「指定代理請求制度」の内容を解説し、万が一の備えを考えていきます。
「指定代理請求制度」とは
がん保険や医療保険などは、保険の対象者(被保険者)が保険金や給付金の受取人となっています。
(病気やケガの備えと考えれば当然ですね)
しかし、被保険者本人に特別な事情がある場合は、契約者が予め指定した代理人が被保険者に代わって保険金等を請求することができます。これを「指定代理請求制度」といいます。
「指定代理請求制度」の特別な事情は?
「指定代理請求制度」の特別な事情は、次のようなケースが考えられます。
- 病気やケガの影響で寝たきりになり、他人と意思疎通ができなくなった。
- がんと診断されたが、治療の都合で本人にはがん告知がされず「がん保険」が請求できない。
利用できる状況は保険会社によって判断が変わってきます。また「他人と意思疎通ができない」状況は、医師の見解や診察などによって慎重に判断されます。
指定代理人になれる人は?
指定代理人は誰でもなれるわけではありません。
保険会社によっても異なりますが、一般的に
- 被保険者の配偶者
- 被保険者の直系血族
- 被保険者の兄弟姉妹
- 被保険者の3親等内の同居している親族
となっています。
誰でも可にしてしまうと悪用される恐れも出てきますので、血縁関係を中心に保険会社が判断します。
「指定代理請求制度」の保険料は?
「指定代理請求制度」は、一般的に「指定代理請求特約」として保険に付加します。
「指定代理請求特約」の保険料は不要です。
また指定代理人は途中で変更することも途中から付加することも可能です。
「指定代理請求制度」の注意点
「指定代理請求制度」は万が一の時、保険金等の請求に困らない制度ですが、いくつか注意点があります。
請求があっても被保険者には伝わらない
指定代理人から保険会社に請求があっても、被保険者には連絡がいきません。「特別な事情」があっての指定代理請求制度ですから、やむを得ない事だと思います。
保険内容が変更される可能性がある
保険金や給付金が支払われることにより、以降の保険金額が変わったり特約が終了となる場合があります。
つまり指定代理人からの請求内容によっては、被保険者が知らない間に保険内容が変更される可能性があります。
伝えたくない事実が、被保険者に伝わってしまう
「指定代理請求制度」を利用しても被保険者には伝わらないとはいえ、もし被保険者から問い合わせがあったら保険会社は伝えなければなりません。
例えばがん保険、治療の都合で本人にがん告知せず代理請求するものの、本人が契約の変更(請求による保険内容変更の可能性)に気付き保険会社に問い合わせ病気を知ってしまう。
伝えたくない事実が指定代理請求制度を利用する事により、被保険者に伝わってしまう可能性があります。
保険は定期的に見直しが必要です
「指定代理請求制度」はいくつか注意点があるものの、正しく理解すれば保険金等の請求に困らない制度となっています。
万が一の時、ご自身や家族が金銭面で困らないように事前に家族やパートナーと保険内容をよく話し合っておきましょう。
また保険内容や指定代理人はライフステージの変化によって変わってきます。
一度加入したら後はそのまま、ではなく生活環境に合わせて保険を定期的に見直し、将来の備えとしましょう。
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