FP3級試験対策として、過去5回分の試験問題から頻出論点を解説します。
今回は「リスク管理」です。
自動車保険と自賠責保険
出題頻度☆☆☆☆☆
高確率で出題されます。
特に自賠責保険の保険金額は暗記しましょう。
自動車保険(民間保険)
自動車保険は任意加入です。
主な保険内容は以下の通りです。
①対人賠償保険
自動車事故により他人を死傷させ、法律上の賠償責任を負った場合、自賠責保険を超える部分が支払われます。
②対物賠償保険
自動車事故により他人の物を壊し、法律上の賠償責任を負った場合、保険金が支払われます。
③車両保険
偶然の事故により自分の車が損害を受けた場合、保険金が支払われます。
いたずら、盗難、台風や洪水被害も補償されますが、地震、津波、噴火は補償されません。
④人身傷害保険
自動車事故により自身や搭乗者が死傷した場合、過失割合に関係なく、示談を待たずに保険金が支払われます。
自賠責保険
自賠責保険は全ての自動車に加入が義務付けられている、強制保険です。
<補償対象>
対人賠償のみ。
<保険金額>
死亡による損害・・・最高3,000万円
後遺障害による損害・・・最高4,000万円
傷害による損害・・・最高120万円
生命保険契約の変更
出題頻度☆☆☆☆☆
高確率で出題されます。
払済保険と延長保険の説明が逆になっている問題がよく出題されます。
払済保険
保険料の払い込みを停止し、その時の解約返戻金をもとに、保険期間を変えずに、同じ種類の保険に変更します。
保険期間は同じですが、保険金は変更前より減ります。
延長保険
保険料の払い込みを停止し、その時の解約返戻金をもとに、保険金額を変えずに、一時払いの定期保険に変更します。
保険金は同じですが、保険期間は変更前より短くなります。
※「延長」だけど期間は短くなります。
契約転換制度
現在加入している生命保険を「下取り」に出し、新しい生命保険に加入することです。
新しい生命保険となりますので健康状態の告知は必要で、保険料も現在の年齢で再計算されます。
保険法、保険業法、保険契約者保護機構について
出題頻度☆☆☆☆
頻繁に出題されます。
保険法、保険業法、保険契約者保護機構と保険会社の関連は以下の通りです。
保険法 | 保険業法 | 保険契約者保護機構 | |
一般的な保険会社 | 〇(適用) | 〇(適用) | 〇(加入) |
少額短期保険業者 | 〇(適用) | 〇(適用) | ×(対象外) |
共済保険 | 〇(適用) | ×(適用外) | ×(対象外) |
保険法
保険法は保険契約に関する一般的なルールを定めた法律です。
主なポイントは
①被保険者の同意
保険契約者と被保険者が違う場合、原則として被保険者の同意が必要です。
②告知義務違反
告知義務違反があった場合、原則として保険会社は保険契約を解除できます。
ただし告知義務違反を知った日から1か月、もしくは契約締結から5年経過しますと解除権は消滅します。
③時効
保険料給付請求権(契約者から保険会社へ)は3年の時効、
保険料請求権(保険会社から契約者へ)は1年の時効があります。
保険業法
保険業を行う者に対する規制と、保険契約者の保護を目的とした法律です。
保険業を行う者は
- 内閣総理大臣の登録が必要
- 顧客の意向把握義務
- 保険に加入判断のために必要な情報提供義務
があり、
- 契約者に対して不利になる行為
- 特別な利益の提供
は禁止されています。
保険契約者保護機構
保険契約者保護機構は、保険会社が経営破綻に陥った場合、保険契約者を保護するための法人です。
生命保険会社が加入する「生命保険契約者保護機構」と、損害保険会社が加入する「損害保険契約者保護機構」の2つがあります。
生命保険商品の種類と内容
出題頻度☆☆☆☆
頻繁に出題されます。
今回は個人年金保険、変額個人年金保険を解説します。
個人年金保険
個人年金保険は受け取り方で6つに分類されます。
①有期年金
生存している間の一定期間、年金を受け取れます。
②終身年金
生存している間、年金を受け取れます。
③保証期間付有期年金
保証期間は生死に関係なく、保証期間後は一定期間、年金を受け取れます。
④保証期間付終身年金
保証期間は生死に関係なく、保証期間後は生存している間、年金を受け取れます。
⑤確定年金
生死に関係なく一定期間、年金を受け取れます。
⑥夫婦年金
終身年金の一つで、夫婦どちらかが生存している間、年金を受け取れます。
変額個人年金保険
変額個人年金保険は一般的な保険の一般勘定とは別に、特別勘定で運用されます。
年金は運用実績によって変動し、死亡保険金に最低保証はありますが、解約返戻金に最低保証はありません。
地震保険
出題頻度☆☆☆☆
頻繁に出題されます。
地震保険は単独で加入することはできません。火災保険とセットで加入します。
<保険の対象>
居住用建物と家財。ただし、1個または1組の価格が30万円を超える貴金属などは保証の対象外です。
<保険金額>
火災保険の30%~50%の範囲。ただし、上限は建物5,000万円・家財1,000万円。
<損害区分>
全損、大半損、小半損、一部損の4区分。
<保険料>
保険会社による保険料の違いはありません。
4種類の割引制度がありますが、重複利用はできません。
火災保険と失火責任法
出題頻度☆☆☆
よく出題されます。
火災保険
火災保険は火災等によって生じた建物や家財の損害を補償する保険です。
今回は「住宅火災保険」と「住宅総合保険」を比較して補償範囲を確認します。
住宅火災保険 | 住宅総合保険 | |
火災 | 〇 | 〇 |
落雷 | 〇 | 〇 |
爆発、破裂 | 〇 | 〇 |
風災、ヒョウ災、雪災 | 〇 | 〇 |
水災 | × | 〇 |
水漏れ | × | 〇 |
盗難 | × | 〇 |
落下、飛来、衝突 | × | 〇 |
地震、噴火、津波 | × | × |
※近年は水災が増えてますので、住宅総合保険の必要性が高まっています。
失火責任法
失火責任法とは、「重大な過失」がなければ、失火(過失による火災)による賠償責任は負わなくてよいという法律です。
木造住宅が多く、密集している日本ならではの法律です。
ただし賃貸住宅の場合、家主に対しては損害賠償責任を負います。(賃貸契約の原状回復義務があるため)
頻出論点の解説は以上です。
2021年9月 FP3級試験の概要は以下を確認してください。
FP試験は情報量が多く勉強は大変だと思いますが、要点を抑えて効率よく勉強し、合格を目指しましょう。
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