私は2019年5月、胃がんと診断されました。
その時考えたのは、
「これで保険に入れなくなる、ローンも組めなくなる。人生設計が狂ってしまった・・・」
でも実際に調べてみますと、必ずしもそうとは言い切れません。
がんと診断されたら保険に入れないのでしょうか?今回はがん患者の保険について考えていきます。
がんは国民病です
日本では、一生のうち2人に1人はがんになるといわれています。
がんは決して珍しい病気ではなく、誰もが罹患する可能性があります。また日本人の死因第一位はがんで、およそ4人に1人はがんで亡くなっています。まさに日本人にとってがんは国民病と言えます。
主な死因の構成割合 | |
悪性新生物(がん) | 27.6% |
心疾患 | 15.0% |
老衰 | 9.6% |
脳血管疾患 | 7.5% |
肺炎 | 5.7% |
がん患者の平均入院日数は16日と長期にわたります。その後の治療、リハビリを含めると治療には多額の費用がかかります。
入院日数 | |
胃の悪性新生物 | 19.2日 |
結腸及び直腸の悪性新生物 | 15.7日 |
肝及び肝内胆管の悪性新生物 | 16.9日 |
気管,気管支及び肺の悪性新生物 | 16.3日 |
乳房の悪性新生物 | 11.5日 |
(平均) | 16.1日 |
以上の事からがん保険、医療保険の加入率は年々増加しています。特にがん保険の加入率は60%を超え、がんに対する意識の高さが伺えます。
がん保険・がん特約の加入率(世帯) | |
平成30年 | 62.8% |
平成27年 | 60.7% |
平成24年 | 62.3% |
平成21年 | 59.5% |
平成18年 | 56.4% |
条件次第で保険に入れます
一般的にがんと診断されると、以降は保険に入りづらくなります。ただし条件次第では保険に入ることができます。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険とは、持病や入院歴がある人でも入りやすい保険のことを言います。健康告知もシンプルで、3~5つの項目をクリアすると保険に入れます。
健康告知項目は保険会社によって異なりますが、主な告知項目は以下の通りです。
- 最近3カ月以内に、医師に入院・手術・先進医療をすすめられたことがある。
- 過去2年以内に、入院したこと、または手術を受けたことがある。
- 過去5年以内に、がんや肝硬変・統合失調症・認知症で、医師の診察(検査・治療・投薬を含む)を受けたことがある。
がん治療中、治療後一定期間は入ることはできませんが、所定の期間が過ぎれば保険に入ることができます。
ただし、いくつか注意点があります。
- 一般の保険と比べると保険料は割高になる。
- 保険会社によっては、加入後一定期間は給付金が減額される(一定期間後は満額支給)
保険料と補償内容のバランスをよく考える必要があります。
無選択型保険
無選択型保険とは、健康状態に関する告知や医師の診察が不要な保険です。病歴や年齢制限で保険に入れなかった方を対象としています。
がん患者でも入ることができますが、いくつか注意点があります。
- 引受基準緩和型保険よりも保険料は割高になる。
- 免責事項が多く、保険対象とならない病気もある。
- 免責期間があり、契約後一定期間は保障されない。
誰でも入れるメリットはありますが、デメリットも大きいです。
保険料が高く、保険会社によって免責事項、免責期間が変わりますので、保険内容をよく確認する必要があります。
特化型保険
がんは国民病と言われ、患者数は年々増大しています。再発の不安、将来への不安、そんな声を受けて「がんの人しか入れない保険」が近年登場しています。
一般の人は入れない、まさにがん患者特化型の保険です。
加入条件、補償内容は保険会社によって違いがありますが、がんになったから保険には入れない、という事は無くなりつつあるのかもしれません。
がんになっても「人生これから!」
がんに罹患する人は年々増加していますが、がん=死 ではありません。生存率も年々上昇し、がんとの闘いは長期戦になります。
がんと診断される前に保険を検討するのが理想ですが、万が一、私のようにがんと診断されても入れる保険はあります。
また、保険以外にも貯蓄・投資で将来に備えることもできます。
がんになっても何一つ諦める必要はありません。
がんになっても「人生これから!」
保険や貯蓄・投資を上手に活用し、あなただけのライフプランを実現させましょう。
(出典)
厚生労働省 令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況
厚生労働省 平成29年(2017)患者調査の概況
公益財団法人 生命保険文化センター 平成30年度 生命保険に関する全国実態調査
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